資料:「自然環境アセスメントマニュアル」(381-385,(財)自然環境研究センター、1995)
表-3 代表的な視覚材料の作成手法
手法名 | 概要 |
ア フォトモンダージュ法 | 眺望地点から撮影した写真に対象事業の完成予想図を合成する方法。C,G,(コンピュータ・グラフィックス)を利用することも可能。 |
イ 透視図法 | 眺望地点からの完成予想図を透視図で描く方法。 |
ウ 模型による方法 | 周辺地域を含めた対象事業の完成模型を作成し、模型上の主要な眺望地点からファイバースコープ等を用いた写真を撮影する方法。 |
エ ビデオによる方法 | ビデオ画像上に対象事業の完成予想図を合成する方法。 |
オ コンピュータ・グラフィックスによる方法 | コンピューターを用いて地形、植生、構造物等のすべてを作画する方法。 |
ア.フォトモンタージュ法
主要な眺望地点から撮影した写真に、対象事業の完成予想図を合成して景観の変化を予測する方法。合成には、コンピュータグラフィックス手法を追うようすることもできる。最も一般的に用いられている手法で、再現性は比較的高く適性範囲も広い。
現況
事業実施後
出典:「長生村状の内地区開発事業に係る景観等影響評価書」(日本ビラ株式会社、平成6年)
主な眺望地点からの完成予想図を透視図法によっ描く点で「ア.フォトモンタージュ法」とは異なる。透視図法はフォトモンタージュ法に比べて再現性の面で劣るが、景観の状況、視野範囲を自由に設定できる利点をもつ。
ここでは、道路の敷設に際し、谷側の法面を残して切通し状にした場合(上図)と谷側の法面を削って遠方の湖面までビスタを通した場合(下図)を比較している。
出典:「MAN-MADE AMERICA:CHAOS CONTROL?」(Christopher Tunnard and Boris
Pushkaren,1963)
周辺地域を含めて対象事業の完成模型を作成し、模型上の主要な眺望地点からファイバースコープ等を用い手写真によって景観の変化を予測する方法。
再現性は模型の精度によって左右sれる。周辺地域の範囲が広い場合には模型作成のコストが高くなるが、この場合は、模型ができれば眺望地点はいくつあっても作業量はあまり増加しない。従って、対象範囲が限定されていて眺望地点の数が多い場合には、この方法が有効となる。
a.模型の鳥瞰写真 b.撮影風景
c.ファイバースコープによる映像
出典:a,c「針見沼大橋有料道路景観検討」(埼玉県道路小UD難、(株)景観工学研究所、平成7年)b.「Visual Simulation Technigues」(Bureau of Land Mangement,1980)
ビデオ画像上に対象事業の完成予想図を合成して景観の変化を予測する手法。再現性はビデオの種類によって異なるが、概ね写真より低くなる。視野が連続的に変化する場合(パノラマ景観、道路などのシークエンス景観など)には有効な手段だが、その場合、事業地の見え方も連続して変化させる必要があり、コンピュータグラフフィックスによる処理が不可欠である。合成図の精度はコンピュータグラフィックスにおける処理精度(作画するコマ数)に左右される。
現状
事業実施後
注)上図はともにビデオ映像中の一コマ。
出典:「環境アセスメントにおける評価構造の研究」(関谷洋一、1985,造園雑誌、48(5))
コンピューターを用いて地形、植生、構造物(既存のもの、事業により新たに出現するもの)を全て作画する手法。再現性は、コンピュータの性能や作画手法によって大きく左右される。コンピュータ上に必要なデータが入力されれば予測は計算処理のみですむことから、眺望地点の数が多い場合(道路等)、概略的な予測、仮想視点からの予測、複数案の比較等を行う場合に有効である。
標高データをもとに地形のワイヤーフレームを作成する。
地形のワイヤーフレーム上に空中写真を被せ、現況図を作成する。
現況図に、CGによって作成した送電線を合成する。