表3-1 植物群ごとの留意点(6/7)
付着藻類 |
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-特性 ・植物相を把握する一環として調査を行うが、むしろ水域の基礎生産・栄養塩の固定、餌と して底生生物やアユなど上位の栄養段階へのエネルギーの伝達機能などが重要であり、生態 系調査項目としての重要性が高い。 -調査手法 ・河川の中流域の基礎生産者として重要な役割を果たすので、調査対象範囲に中流域が含ま れる場合は、調査を実施しておくことが望ましい。 ・アユの餌として付着藻類をみる場合は、クロロフィル量、強熱減量なども同時に分析して おくと良い。また増殖速度(生産速度)の分析が必要になることもある。 ・植物相調査の調査地点は対象となる水域の形態、地形、潮流・干満の状況、底質など基盤 環境のタイプを網羅するよう設定する。また水質や魚類、底生生物等の調査地点と同一とし ておくことが望ましい。 -調査時期・頻度 ・付着藻類の現存量は短期間に大きく変化する。目的により調査頻度を検討する必要がある が、植物相の概要を把握するための調査ならば季節変化が把握できる程度の調査頻度で良い。 ・水質等の調査と併行して現存量、種類等の季節変動が把握できる回数を実施する。 -留意すべき影響要因 -予測・評価手法 ・生態系の機能に関連して、クロロフィル量や生産力の変化などに関する予測評価を行うこ とがある。 -保全方針検討の観点 ・アユをはじめとした上位の動物の餌として保全を検討することがある。日照、水温、栄養 塩、流速、濁りなどの要因について保全措置が必要となる場合がある。 ・中小洪水は一時的に付着藻類の現存量を減少させるが、微少な堆積シルトや活性の低下し た部分を剥離させ、新鮮で活性が高くなるように更新させるので、自然の流況変動も重要で ある。 -事後調査手法 ・水質の有機汚濁の変化を付着藻類の種組成でおおまかに知ることができ、生物指標として 利用できる。 ・種組成、特に主要種の変化などに注意する。 -事後調査期間 |